雲を追いかけて
ふく

お昼の雲に
あなたを見つけようとしています

風がゆるく吹き
低気圧を含んだ雲が、南からの春風に押され
違う国の雲になろうと準備していました
静かな、わずかな運動です

雨が細く降っています
南の人の思いを
小さく小さく降らせています
「細く小さな雨は虹になる」
雲はちゃんとわかっていました

わたしも

風が空き缶にはためいていきます
雲がわたしの上から飛び立つ準備を
太陽が隙間からのぞくたびに
わたしは穏やかにあなたを思います

窓から斜めに見えるあの雲は
あなたの呼吸と
わたしの呼吸が
見えないけれど、つながっているのでしょう

流れは穏やかです
目で追うには十分すぎるくらいに


自由詩 雲を追いかけて Copyright ふく 2005-04-22 13:57:46
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