デキストリン
由比良 倖

街は震える。
街は震える、僕を揺り落とすほどに。
寂しく、恐ろしく
震える。
真っ黒に濡りつぶされた窓が
少し開いて、
赤い針が何本か投射される。
その骨ばった手指。
不揃いな歯。
そのあいまで
みどりのすももはすり潰されて、
デキストリンに愛想笑いする。


自由詩 デキストリン Copyright 由比良 倖 2021-02-06 23:28:57
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