真っ白な模写
宮木理人

今日の予定だとか
そういうことよりもずっと前に
今、ということが
どういうことだがわからない

それだからいつも
前の一行をかっぱらってしまって
髪を切ることも忘れて
町へ出ていくのだ

商店街には床屋はなく
八百屋もなく
なにもなく

死角ではいつも
燃えている兎がジャンプする

カバンのなかの大事なメモは
もうすでに大事になんかあつかわれていない

そんなことがなんども
なんどもあったわけでしょう





自由詩 真っ白な模写 Copyright 宮木理人 2021-01-09 02:57:44
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