春が最初
浮蜘蛛
春夏秋冬で、春が先にくるのはなんで、なのかな。
ある時 ふと、思った。
秋冬春夏(しゅうとうしゅんか)、の順でも
〈絶対におかしい〉というほどの違和感はないし。
冬春夏秋(とうしゅんかしゅう)、でも、
これでは四季は成立しない、と思うほどの
はまらなさ感は、感じない。
・・・・でも、今日、桜が咲いた川沿いの堤防を歩いて。
春が来たんだと、感じた。
そして春が来たことを、いいもんだなあ、って 思った。
そうしたら、ふと。
春が先にくることが腑に落ちた。
ぴょんぴょん飛び跳ねて、
桜の花を触ろうとする孫に、
おじいちゃんが、孫を抱きかかえながら、
『花をむしりとってはだめだよ。』
と、孫の手を握って、
諭している。
若い男性と女性が、
楽しそうに話をしながら
手をつないで、
堤防をゆっくりと歩いている。
手と手が繋がり、
人々の成長や、
物語が始まっていく。
・・・この、春という季節から。
春夏秋冬で、春が先にくるのは、
そういう季節だからなんだ。
桜の花が咲く河原で、
わたしは、そう 思った。