球体シャーレ
asagohan

シャーレ
喝采をあげて赤い綿毛が一斉に広がる
緑の胞子が満ちて森をつくる

コンタミネーションを起こして
白い培地で紡がれる微かな物語。

三十七兆分の細胞は
ただの傍観者に成り下がる。

神も
発芽する菌糸のような
ビル群を見つけては
僕の様に
驚きの声を上げるだろうか。

・・・なんて
馬鹿を言っちゃいけない
人類は最近の後輩だ。

その興りも
驕りも
滅亡も

むしろ
小さな目から
観察され続ける
この球体のシャーレの上で。


自由詩 球体シャーレ Copyright asagohan 2020-12-05 20:27:29
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