数え歌
月夜乃海花

零、煉瓦に囲われ取り憑かれ

一、私は拳を握りしめ辺りを壊し続けた

二、隣には空へ飛ぼうと脚を壊し続けてるものが

三、それを壁の上に座り覗く哀獣たち

四、猟銃たちに睨まれる哀獣たちは気づかない

五、一発、ぱん!と聞こえた銃声

六、嫌だと叫びながら落ちる獣達

七、みんな同じなんだと正義を片手に笑う道化師

八、ただ壁に取り残されて足掻くもの

九、今は賑やかに壁の中は仲良し殴り合い

十、そして誰もいなくなった


da capo.




10.ねぇ、あそこの動物かわいいね

9.あれは「ニンゲン」というのよ

8.ニュースであばれてたっていってたあの動物?

7.かわいいねぇ。こうやって見ると

6.ねぇ、「ニンゲン」がこっちを見てる!

5.「ニンゲン」たちも仲良くなりたいんだってさ

4.「ニンゲン」ってこんな場所で狭く無いのかな?

3.野生で生きるのと動物園で餌をもらって生きるのってどっちが良いんだろう

2.お、飼育員が入ってきたぞ!

1.いいなぁ、俺も「ニンゲン」みたいに餌与えられて寝て起きる生活してぇなぁ

0.ねぇ、待ってよあの「ニンゲン」なんか持ってる、こっち見てる、あれなぁに?


響く叫び、怯える何か共。

そして本当に誰もいなくなった


Fine.


自由詩 数え歌 Copyright 月夜乃海花 2020-11-28 07:27:58
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