言葉の壁に挟まれる(!)
道草次郎




どんどん
書けなくなる
次第に
言葉の壁が四方から迫ってくる

盗掘したわけではないのに
インディージョーンズでもあるまいし

スナイパーが潜伏しているらしい
フレーズの鳥は羽ばたいた途端
撃ち落とされてしまうだろう

一つ一つの単語がソクラテス
今にも毒ニンジンをあおらんとしている

比喩の篝火をかざすと
自分もろとも全焼してしまいそうだ

品詞たちは手錠をされ
一列にならんで奴隷のように歩いている
いったいどこへ向かうというのか

「もうだめだ!」
そう叫びそうになる


ぼくはベッドからはね起きていた
夢だったのか…
しばらく遠くをながめていると
ぼんやり何かが見えてきた
それは四方から少しずつ
こちらの方へと近づいてくるようだった

夢だって?
ああ夢かもしれない
でもいつ終わるか知れない夢が
うつつと
一体何が違うというんだよ







自由詩 言葉の壁に挟まれる(!) Copyright 道草次郎 2020-11-14 16:50:41
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