ナンのスタンス
ブルース瀬戸内
ナンと呼ばれようがナーンと呼ばれようが
皆さんは私のことを勘違いしているようだ
私の姿がお面のようで雲のようなものだと
それが定形で適切で妥当ではなかろうかと
勝手に思い込んでいるが待ってくれないか
これが私の本来の姿だと思ってほしくない
偽善に満ちた天使の姿ではないだろうけど
浪花節満載の悪魔の姿ではないだろうけど
そうした姿をも彷彿とさせる究極の無定形
それこそが私であることを伝えておきたい
その意味で私は光沢の仮面をかぶっている
このツヤとテリは悲喜こもごもの涙であり
この味わいは清濁分けぬ慈悲の結晶であり
この色は嬉々と世界に染まらぬ覚悟である
それこそが私であることを伝えておきたい
何者であれど生涯があるように私にもある
だが何者であるかは私が決めさせてもらう
勝負ごとも白黒つけることも大嫌いである
だが敗北主義は更に嫌いで負けたくはない
屈折しているし偏見に満ちているのが私だ
屈折していないなら屈折せよと思うほどだ
偏って見ないのは何も見てないのと同じだ
なんと粗雑で無定見で無狭量なスタンスか
だがそれが私そのものであるし一言言えば
好きにちぎってカレーに私を浸してほしい
誰が何を言おうと私は既にあなたのものだ