それは覆う被膜そして光りの干渉
につき

声が揺らぐ
叫びが途絶える
断絶という渓谷
汚された霊峰
滅びようとしている深海の神話

悲しみは涙を覆う被膜
そして干渉する光
彼らの炎は緑濃く立上る
やわらかな重みを湛えて
握りしめる熱こそを信じている
足裏に感じる確かな赤土のざらつきがある
どうしてここに生きているのか
もどかしさとは我らを覆う被膜
言葉を覆う
伝わるというそうでないという
被膜こそが
揺れる光りを呼ぶ
朝には遠く
正午には真近く
夕べには最も離れ
夜には失われた面影となり
言葉はもっとも真摯に
我らに寄り添う
ひたすらに適合しようと
覆う被膜となり
干渉する光を迎えるものとして
輝く海が
大気の層が
そして大地が
この星の被膜となり
太陽からの干渉光を迎えているように
すべてという言葉が
我らという言葉が
我らを覆う被膜となり
永遠より発したこの青い干渉光を
静かに映している
彼方へと去っていく苦しみたち
残された沈黙へ
また問いが始まる



自由詩 それは覆う被膜そして光りの干渉 Copyright につき 2020-10-13 23:52:48
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