音の約束
木葉 揺

あなたはいた
いたはずなのに
見えない
いろんな音を残して
消えてしまった

いろんな音があるから
退屈しないはずなのに
何かがえぐられてるらしく
何も手につかない
どの音にも手が届くのに

散乱する日常を拾ってから
音を楽しむといい
わかっているのに

何も手につかない
何を失ったのだろう
あなたはいた
でも私に属する者じゃなし

自由に音を転がして
置いて行ってしまった
私の何かはえぐれている
手につかないのはそのせいか

音だけが共通
なのに全部置いて行った
私は音を愛でるけれど
あなたを忘れるつもり
ホッとするでしょう?



自由詩 音の約束 Copyright 木葉 揺 2020-10-13 23:08:50
notebook Home 戻る  過去 未来