真夜中の侵入
ひだかたけし

落ちる白壁、この真夜中
沈黙の充満、物という物
剥き出しに在り
全てが均一に在るという
無機の死の奈落
無言の虚無の生々しい告知

そうして俺はこの胸に広がりゆく空洞を抱え

物質という無常の界に未だしがみつくのか
沈黙の充満、奈落の虚無に方位を失い
滲み出す未知に盲目であるが故に
対峙する魂の意志の強度を欠く故に
ー愛の方途を喪失した今なら
満身創痍の肉体だけ残った今なら
全て放棄してしまえばいいだろうが

この真夜中、白壁の剥離し
物という物の侵入が始まる
この俺の脈打つ脳髄へ
襲撃は次から次に














自由詩 真夜中の侵入 Copyright ひだかたけし 2020-10-11 00:15:57
notebook Home