雨と風の物語
につき

風が吹いた
風の音
どうして聞こえるのだろう
声がした

誰かが泣いているのか

物語は生み出され
事象は表され
そして言葉は過ぎるもの

どうして物語はこんなにも長くなってしまったか
事象たちはこれほどまでにばらばらにされ
そして言葉は隙間だらけに

夜の空を覆う冷たい雨雲
嵐が近づいている
どうして胸が騒ぐのだろう

まるで見知らぬ空港から
喘ぐようにプロペラ機が飛び立とうとしている
雨風はますます強く
旅客たちは皆固い瞳をしている
窓の外は真っ暗だ


自由詩 雨と風の物語 Copyright につき 2020-10-09 22:36:53
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