射殺する勢いで立っている
カンチェルスキス




 毎日の時刻を時計から知る
 象徴的な出来事は
 何層ものモノクロとカラーフィルムでできている
 片腕を通したままちぎれた
 ジャケットの裾が吊るされている杭の落とした影
 射殺する勢いで
 残された肉体が立っている

 

 激しい分裂のあとで生まれた
 解読できない液体の全記録
 研究対象になる分野での破壊が繰り返され
 階段で息詰まった馬の蹄が赤く染まる
 管の中を回転しながら落ちる
 液状化から固形化



 ビルの窓から向こうの窓の間に
 人の姿は見当たらない
 窓から窓へ吹き抜ける風
 腹式呼吸でよみがえる地平線
 午後でも午前でも夜でもない



 毎日の時刻を時計から知る
 立っている
 物事として立っている
 明かされない肉体の
 射殺する勢いで
 立っている





自由詩 射殺する勢いで立っている Copyright カンチェルスキス 2005-04-16 20:01:21
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