辞し
たいら

開けたくて 開けた幕じゃない
それならば せめて終幕くらいは
自分の意志で 自由な意志で
決めたいものだと思うのです

ニュースで飛び込む 有名人の死
その裏で積み重なる 名も無き骸
弔いの言葉も 社会への提議も
為されぬまま 朽ちていくだけの一

僕もきっとそうなのだろう
誰にも気付かれずひっそりと
蠅と蛆に集られ
血肉を腐らせるだけ

命は失われた その瞬間に
ただの物になる
物言わぬかたまり
僕もきっとそうなるのだろう

さあ
人間を辞めよう。


自由詩 辞し Copyright たいら 2020-09-27 20:39:02
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