夕焼け
道草次郎
いい匂いの温かいシーツを誰かのためにしくこと
果てしなく批判的であること
このふたつを足して二で割る時の心の動きを詩に書いてきた気がする
だから隠し事はしなかった
隠し事をしていたとしてもそれに自覚的であれないことをみずからに許してきた
そういう心の動きの中に生きて行く力を探した
もちろん底には腐り果てた心が溶解し切れぬまま沈んでいる
それでも上澄みを見てみたい一心だった
答えのない道に迷い込んだのは分かっている
あるいは
この地に産まれてしまった哀しみにおののいてもいる
色々な事がなだらかな坂を下るように起こっては収まっていった
そして今こうして秋の真ん中に立っている
秋には隅がないように思われる
つねにそれは真ん中であり続けるようにみえ爽やかな風を吹かせている
青空は低い位置に雲を据え高く広がっている
山並みは遠く草々はゆたかに茂り百舌鳥もないている
こうしていると
もう何も間違うことはないような気がする
たしかにそう感じられる
何ものも変わりはしなかった
これからも
何も変わりはしないだろう
道はどこまでも続いていく
道をどこまでも歩いていく
夕焼けに向かってつづくその道におちる影は
来た道の方へ大きく斜めに伸びていた