登攀と風
道草次郎
浄化を意図して
つづら折りのあの坂道は山肌に組み敷かれたか
猛禽類やらが舞い
川には
きっと魚の信仰もある
でも
このポンコツ車は
トコトコと
登ってゆくのだから
あまり
心配は要らない
ここかしこ
ある
たくさんな詩をご覧
たくさんな人のたくさんな見方を
ご覧なさい
とてもよいものがあるし
そう感じれば
石ころが
頭の中の空き地に
ころんっ
と
なる
わるいものなど
あることか
いやあるだろうあることか
________
とかく
たくさんな詩をご覧
その人らを一人ひとりと言うでなし
ちょうど
この人しか地球に居ぬと
惟い読め
このポンコツ車
ガタガタと
わめくけれども山肌の
罪な藪やら小枝やらがボディーを擦る
それを
かゆいかゆいと言えばいい
そうしてやがて着く頃は
夕陽も山にお隠れに
________
ハンカチを受け取る
一葉のスナップ
と
意味に吹く風
それだけで
事足りるたそがれを希いつつ、今