登攀と風
道草次郎

浄化を意図して
つづら折りのあの坂道は山肌に組み敷かれたか
猛禽類やらが舞い
川には
きっと魚の信仰もある

でも
このポンコツ車は
トコトコと
登ってゆくのだから
あまり
心配は要らない

ここかしこ
ある
たくさんな詩をご覧
たくさんな人のたくさんな見方を
ご覧なさい

とてもよいものがあるし
そう感じれば
石ころが
頭の中の空き地に
ころんっ

なる

わるいものなど
あることか
いやあるだろうあることか
________

とかく
たくさんな詩をご覧
その人らを一人ひとりと言うでなし
ちょうど
この人しか地球に居ぬと
おもい読め

このポンコツ車
ガタガタと
わめくけれども山肌の
罪な藪やら小枝やらがボディーを擦る

それを
かゆいかゆいと言えばいい
そうしてやがて着く頃は
夕陽も山にお隠れに
________


ハンカチを受け取る
一葉いちまいのスナップ

意味に吹く風

それだけで
事足りるたそがれをねがいつつ、今




自由詩 登攀と風 Copyright 道草次郎 2020-09-15 10:49:46
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