ブルース・ブラザース、日本へゆく第三章 37
ジム・プリマス

「ニュー・ヨークへ」

37
 車に戻ったエルウッドはカーナビを操作して目的地をニュー・ヨークにセットした。
 カーナビに従って、シカゴ市内を南に下って、混雑しているシカゴ市街を抜けて、90号線にたどり着く頃には、時間は三時を少し回っていた。
 ハイ・ウェイは市街の道路と比べると、比較的に空いていたので、制限速度の時速80マイル前後の速度でもスムーズに車を走らせることが出来た。
 90号線をさらに南に下ってサウス・シカゴを通り抜ける頃、道路が徐々に込み始めた。日は西に傾き始め、帰宅する車が増えてきたようだ。
 イースト・シカゴを過ぎると道路は東向きに方向を変える。赤い西日に照らされながら、エルウッドは思った、これで車はやっとニュー・ヨークの方向に向かい始めた訳だと。
 渋滞を乗り切って、インディアナ・トール・ロードにさしかかった頃、もう日は暮れかかっていた。
 いいかげん車の運転に疲れたエルウッドは、無計画にインディアナ・トール・ロードをウッドビルという町の近くのインターで降りた。
 インターの出口を出ると、もうとっぷりと日は暮れて、あたりは、すっかり暗くなっていた。エルウッドは、暗闇の中で、最初に目についた、クローバーズというハンバーガー・ショップに車を止めて、店に入った。
 エルウッドは店の中でメニューを見て、即座に、ラージ・サイズのダブル・チーズ・バーガーのセットとコーラを注文して、先に勘定をすませた。
 それからエルウッドは一旦、店を出て、店の外の電話ボックスに入り、電話帳で近くの宿を捜して、またもや最初に目についた、モーテルの広告の電話番号に電話をかけ、一晩の宿を予約した。
 エルウッドが選んだのは、クィーンズ・インというチェーンの二つ星のモーテルで、駐車場はもちろん、無料で、バイキング形式の朝食が付いているということなので、これで今夜の宿は一安心だ。
 店に戻ると、注文したハンバーガーが出来上がったところで、ブルーの制服を着た、若いヒスパニック系の、浅黒い肌をした女性の店員がエルウッドが座っているカウンターに、ハンバーガーとコーラを運んでくれた。
 もう午後の八時を過ぎていたので、エルウッドはかなり空腹だった。
 店には、一人でテーブル席に座って食事をしている男の客が二人ほど、常連らしい二人連れの女の客が、一組いたが、店の中もカウンターもがらんとしていた。
 ハンバーガーはかなりデカく、付け合わせのフレンチ・ポテトと、セットの、野菜がゴロゴロ入っているミネストローネが付いていたので、それを食べてしまうとエルウッドは腹がいっぱいになった。



散文(批評随筆小説等) ブルース・ブラザース、日本へゆく第三章 37 Copyright ジム・プリマス 2020-09-02 13:09:15
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