簡単なさようなら
すいせい
登攀する指たちの鮮やかに泳ぐ風景を目の当たりにしては、花を捥ぐ
稲光として照らされるまなざしは避けがたいせせらぎを背なに負うのだ
その熱を委ね夜へと色をうしなっていく様々な病たちがしなだれて
耳骨だけがささめきを掻き分ける
冷たさを
(
ステンレスの
)
まるで感じませんでした
蜜の喉越しは熱くて
(
メロンソーダの緑は毒々しくて
)
それでも身体は石を抱くのだ
(
わたしを染め上げていく
)
(夜話に綴られる紙燭を灯して
(乳を啜られるふりをする
わたしにとどまり
いつしかきみに流れだしていく月の光
踏み抜かれる草の汁で
汚してしまいたかった
自由詩
簡単なさようなら
Copyright
すいせい
2020-08-30 22:46:48