悲しみ
風の化身

ぽつりぽつりと
降り出した
雨粒のような哀しみ

傘が無いので
避けようもなく

手を翳しても
隙間を抜けて

私をめがけて落ちて来る

それは
とても小さな粒だけど
胸に当たると冷たくて痛い

夏の真ん中にいても
真冬の手の中にいるようだ

濡れた
オブラートのような私が
しゅるしゅると溶けて行く


自由詩 悲しみ Copyright 風の化身 2020-08-18 21:43:15
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