拒絶された切れ端
初代ドリンク嬢

はっと、
目を覚ますと
ベッドの足元に
等身大のアンパンマンがいた
といっても
実物を見るのは初めてだったから
それが等身大なのかどうか
本当のところはわからない
つやつやのほっぺ
赤い鼻
怖かった

「なに?」
ときいても
ニコニコ笑って見守っている風だった
夢だそう思った

朝、目覚めると
アンパンマンはそこにいた
満面の笑みで
顔をちぎって私に差し出した
「いらない」
そんな得体の知れない
顔を食べられるわけない

それでも、
アンパンマンは顔の切れ端を私に突きつけてくる
仕方なく受け取り
見つからないようにゴミ箱に捨てた

振り返ると
アンパンマンがそれをやっぱり
ニコニコと見ていた
いや本当は
怒っていたのかもしれないけど
私にはそんなことはわからない

怖かった
アンパンマンの笑顔
夜中にぼんやり浮かび上がる笑顔
もう

振り向くと
あの笑顔が私を見てる


自由詩 拒絶された切れ端 Copyright 初代ドリンク嬢 2005-04-14 20:58:40
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