ブルース・ブラザース、日本へゆく第一章 5
ジム・プリマス

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 エルウッドの上機嫌ぶりに、あきれかえっているシカゴ・エキスプレスの常連たちを、後にして、彼は意気揚々と、アパートに引き上げてゆく。デーゥイやマイクや、や常連たちはてんでに、「あれ、何だよ。」とか「彼、どうしたの。」とか「何が起こったんだい。」とかワイワイ言い合っていたけけど、店主兼シェフのエドの一言でかたずいちゃった。「なーに、奴さん、生きる意味というやつを見つけたのさ。」
 さて、エルウッドの方はというと、意気揚々とアパートに引き上げてきて、スプレー工場で働き始めた頃、なけなしの金を投げ出して、無理して買った中古の日本製のハイファイステレオのアンプのボリュームを上げて、ご機嫌なブルース・ナンバーを聞きながら、ベットの上で寝転がって、ジム・ビームスで一人酒盛りをしている。       
 そして、うーん、日本人ていうのは、こんないい音の出るアンプを作っちゃうかんだから、とんでもないやつらなのかも知れないぞ、なんて考えてみたり、そして日本行き、いや、その前にニューヨークにいかなくちゃいけないんだけど、そのことを色々、考えてたんだけど、だんだん不安になってきた。
 ちょっとまてよ、ニューヨークと、日本行きの、金はなんとかなるけど、日本語は全然分からないし、よく考えてみればハーレム合唱団といわれても、知り合いがいるわけでもないし、破産寸前の合唱団のスポンサーなんて、自分には無理だし、知り合いにそんな人物かいるわけじゃなし、それにジョージ・ヤナギって誰のことだろう。日本のプロジューサーの名前かな、などと色々考えていたんだけど、酒が回ってきて、眠くなったんでいつのまにか、眠ってしまっていた。


散文(批評随筆小説等) ブルース・ブラザース、日本へゆく第一章 5 Copyright ジム・プリマス 2020-07-28 01:29:09
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