ブルース・ブラザース、日本へゆく第一章 2
ジム・プリマス

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 例のルイジアナでのドタバタ騒ぎが一件落着した後、結局、エルウッドはルイジアナ州刑務所で五年は食らい込むハス゛だったのだが、カーティスの息子のキャブやペンギンの奔走で、今は里親のところにいるバスターや、ブルース・ブラザース・バンドのメンバーが、比較的、彼に対して友好的な証言をしたお陰で、半年の短期刑務ですんだ。
 バンドのメンバーの口の悪さときたら、天下一品だから、キャブとペンギンがいなかったらどうなっていたか分かったもんじゃない。
 今はペンギンの紹介で、以前に勤めていた、シカゴのスプレー工場の検査係に返り咲いている。
 スプレー工場の検査係は単純な仕事だが、それだけに収入は悪くない。エルウッドはまだ独身だし、安アパートの家賃と、会社の近くにあるマクドナルドでの昼食費や、ほとんど、毎日通いつめているアパートの近くのトレーン・キッチン「シカゴ・エキスプレス」での夕食費、毎晩、一杯だけ、引っ掛けるジム・ビームスの酒代を差し引いても、まだまだ、余裕がある。後は、中古のCDのセールがあるとき、好きなブルース・シンガーのCDをまとめ買いするくらいのものだから、毎月の給料が手元に残ると、彼はそれをシカゴ・セントラル・バンクに全額、放り込んでしまう。これが結構な額になっているが、いまのところ使い道がないというところだ。
 エルウッドとしては、大部分を孤児院に寄付して、自分は、その残りで中古のダッジでも買おうかなと思っている。
 今、エルウッドは、まあまあ悪くない堅気の暮らしをしているというわけだ。
 


散文(批評随筆小説等) ブルース・ブラザース、日本へゆく第一章 2 Copyright ジム・プリマス 2020-07-25 07:37:20
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