どうにも目がさえて眠れないので
今日の夢をゴミ箱に捨てました
今日の夢は泣いていましたが
何も言わずにゴミ箱に蓋をしました
ひとは残酷ないきものです
ティン・マシーンを聴いていてふと
ライブラリが死人ばかりになったなと思いました
ミチロウ、ヒデキ、デビッドボウイ
今日聴いたもののすべてです

今日は、といってもすでに昨日ですが
曇りということでしたが時折元気よく晴れました
肌の焼ける感じも
たまになら悪い気がしません
帰宅すると若い俳優が死んだと
テレビやネットで大騒ぎしていました
よく知らないひとでしたが
一度女装をして歌っているのを見たことがありました
出演したミュージカルをテレビプログラムで再現したとのことで
すごく歌の上手いひとだなと思ったのを覚えていました
そんなひとでも自ら死を選んだりするものなのですね
責めるわけではないけれど腹立たしい気がします
いえ
彼にというわけではなく
なにかに…無性に

起きている夜は
人生の隙間であるという気がします
わたしは時間のほころびに割り込んで
動かない景色を眺め続けているのです
すんなりと眠ることが出来るひとたちは
わたしのことを愚かだと笑うかもしれません
まあ、笑わせといてあげればいいのです
それは彼らをどこに連れて行くこともないのですから
そういえば子供のころに
時が過ぎるということがすごく
ものすごく不思議に思えたことを覚えています
たとえば
授業を受けている時に
（いまはこうしているけれどいつのまにか家に帰っておやつを食べたりしているのだろうな）
などと思い、数時間後にそれはやっぱりそうだったと
口元を汚しながら思い知っているのです
眠ることもそうでした
昔からあまり寝付きのいい人間ではなく
薄暗い部屋でぼんやりと天井を眺めながら
いつの間にか朝になっているんだろうななどと考えを巡らせておりました
わたしは頻繁に
いまをどこかに落としてしまっている気がします
ねえ、あなた
わかりますか
わたしの生はいつもどこかに行きたがっていて
しかも見境がないのです
逃避願望とかそういうものではなくて
ただただ移動をしたがっているのです

わたしの枕は
寝床でこんなものを書いている間
脇に退けられているので
ちょっと不満そうに唇を歪めています
わかってるから、と
わたしは言い訳をします
でもいまはこれを仕上げさせてくれよ
どうせどうしたって今夜中には眠りにつくんだろうからさ
いまだけちょっと待っていてくれないか、と
天井の電灯もため息をついています
あんた一回俺のこと消したじゃないかよ、と
言いたげにジージー鳴っています
ふう、しかたない
適当に切り上げて眠ることにします

それではおやすみなさい

願わくば
ゴミ箱に捨てた今日の夢が
おかしなことを目論んだりしませんように