あさ
ゆるこ



「きょうのあなた」





昨日は 自動販売機
今日は ミルクせんべい


毎日変わる お気に入りを
クリームパンのような手で
かかえながら


まんまるくなってねむる
そのまつげに わたしは居たい






「ゆめ」




季節の変わり目は のびながらちぢむ
はしったり ころげまわったり


布団のなかで 
ひとしきり遊んで


朝になれば 頭から

青草の みずみずしい匂いがするし
背中は みどり色にぬれている





「ゆげのなかで」






焼きたてのトーストにヌテラをぬれば
たちまち とびながら食卓につく


コーヒー豆を炒るたび ぐるりとはねて
お湯をそそげば ふるえている


食器を出すと 息をはき
牛乳を出すと けむりのようにふえる





「あさ」





きのうから きょうまでの
へその緒が ゆらめき
銀色の たくさんの線を繋いでいく



くらい くらい


夜の底から おっことされて
それでも足を 地につけながら
光を感じて また息をする



ゆげたちのぼる あさの先に









自由詩 あさ Copyright ゆるこ 2020-07-15 00:54:59
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