本棚と掛けて女性と解く
TAT
第一印象は背表紙である
ズラッと最終巻まで揃っていたり
グダグダでだらしなかったり
ピシッと綺麗な真っ白な
今年発行のミリオンセラーの
初版本だが
手に取って実際に
読み込んでみると
ね
という事もある
油にまみれた
本の匂いが臭い
古臭い文庫本なのに
人生の羅針盤を
ものの見事に
一撃で狂わせやがって
という事もある
話が早いのは
さっさと踏み込んでみる事だ
おっぱいの大きさとか
顔の良し悪しであるとかは
ザラザラっと
撫ぜるだけでよい
指を入れてみればいい
ガチガチで隙間も入らないのは未だ
ガキンチョの本棚だ
やめておけ
綺麗に整ってはいるが余裕がない
指一本分くらい余裕で
入るようになってからが
大人で
きゅうきゅうと
そこに
自分が相手に読んでほしい本を
差し込むんだ
ピンチランナー調書とか
図書館戦争とか
脱走と追跡のサンバとか
ナインストーリーズをな
理想は急に指を二本突っ込むと
パタリと背表紙が
倒れるような本棚で
こういう本棚こそ
塗り替え甲斐がある
岩波の新書や
ペンギンクラブの
雑誌でも雑に
放り込んどけば
翌週には
きっちり素知らぬ顔で凛として
並んでいるが
実は隅から隅まで
読み込まれていて
ヘナヘナの背表紙が
鮮やかに色褪せて
馴染んでる
が
指三本が余裕で入るようなら
少し
気を付けろ
三本余裕で入るなら
四本も五本もガバガバで
置いても置いても本棚は空で
普通の空っぽのバカ
という事もあり得る
お前はさっきから
ずっとニヤニヤしてるな
失礼な奴だ
人がせっかく
本棚を基にした
良い伴侶の見分け方を
説明してるのに
止めだ
全く
けしからん奴だ