お弁当作る機会が無くなって代わりに詰める三十一文字
きりはらいをり

新しい靴とスカートで行くからさ 君よ、どうか、汚してくれたら

十七時取り残された公園でまだ揺れているブランコひとつ

想像の綺麗なナイフ握りしめいざ飛び込まん君の懐

このコートまだ時期尚早だったかもという尚早春はすぐそこ

月並みの感性だけで行ける町踏破してから個性を名乗れ

百均で買った茶碗になけなしの感傷よそう独り身の夜

生きるため食べる(殺す)獣の真赤な口を美しいと思う私が好きだ

救うより殺すが余程易かろう神にそれでも祈る我々

赤信号待つ間に語り切る程の半生ですが楽しいことよ

何故みんな私を置いて行ってしまう 通過電車に頬を切られて

寒いねといいつつアイスティーを飲む安寧 明日は死ぬとも知れず

益虫と呼ばれし蜘蛛よ正義とはさも恐ろしきかたちなりけり


短歌 お弁当作る機会が無くなって代わりに詰める三十一文字 Copyright きりはらいをり 2020-06-14 14:13:58
notebook Home