ありったけ


芝生はいい
寝転がって
僕たちは笑う
とくになにがあったわけでもないのに
ただ笑って
じゃれ合って
空を眺める
雲が何にでも見えた
アイスクリーム
蛇の目
ありえない獣
五本足とか三つ首とか
ウサギが最後に亀を飛び越えてゆく
勝負のことなんてどうでもいい
といった感じで
この先になにが待ち構えているか
考えもせずに
今この時を笑い飛ばす
きみの乳房のおもみ
ありったけの涙
ロケットが
地球を三回転半くらいまわって
大気圏外へと脱出する
芝生に座る二人はみるみる小さくなって
米粒より小さくなって
きらめく




自由詩 ありったけ Copyright  2020-06-13 03:15:33
notebook Home 戻る