ありったけ
七
芝生はいい
寝転がって
僕たちは笑う
とくになにがあったわけでもないのに
ただ笑って
じゃれ合って
空を眺める
雲が何にでも見えた
アイスクリーム
蛇の目
ありえない獣
五本足とか三つ首とか
ウサギが最後に亀を飛び越えてゆく
勝負のことなんてどうでもいい
といった感じで
この先になにが待ち構えているか
考えもせずに
今この時を笑い飛ばす
きみの乳房のおもみ
ありったけの涙
ロケットが
地球を三回転半くらいまわって
大気圏外へと脱出する
芝生に座る二人はみるみる小さくなって
米粒より小さくなって
きらめく