田園
ミナト 螢

取り残されたと思った
寂しい町を背中にすると
案山子が笑っているから
僕はひとりじゃない
だけどあそこまで
歩いても行けない
そんな距離を
いつかは終わらせたい
ふざけた顔した
夕陽が鍋の落とし蓋になる
小さくて弱くて丸いだけの形に
家族の食卓が懐かしくて
ひとり分の料理に
玉ねぎを使うのが嫌いだった
憎まれ口を叩いても
保存をするのは優しさだから
町の表情が闇に潰された
献立の中で味噌汁を飲む
少しでも目が開くように


自由詩 田園 Copyright ミナト 螢 2020-05-02 07:44:53
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