TOMORROWNEVERKNOWS
本木はじめ
満開のころに降る雨いつもいつも恋に似たものすべてはかない
なんとなく聞こえる卵の殻が今割れた気がする恋人前夜
自転車であなたの街に着く前に五月の風に抱かれるわたし
たくさんの出会いや別れを経て遂にふたつのくちびる出会う八月
傷口と翼をぼくら間違えて大きく広げてしまった九月
思い出すあの時ぼくらふたりだけに見えたプラネタリウムの流星
人生の途中でぼくはただじっと待ってるきみが犀を振るのを
冷たさは音にも宿る放課後の音楽室に響くシの音
背後から抱きついてくる恐ろしき鬼があなたで良かった二月
天国とゆう価値観があるゆえにシートベルトを締めないあなた
土砂降りの雨が降り出す高速で前が見えない無言の車内
もうすでに手遅れならば山桜ふたりで埋めようこの恋の死体
五年後にここで会おうと渡された二千五年のアドレスに『明日』