TOMORROWNEVERKNOWS
本木はじめ

満開のころに降る雨いつもいつも恋に似たものすべてはかない


なんとなく聞こえる卵の殻が今割れた気がする恋人前夜


自転車であなたの街に着く前に五月の風に抱かれるわたし


たくさんの出会いや別れを経て遂にふたつのくちびる出会う八月


傷口と翼をぼくら間違えて大きく広げてしまった九月


思い出すあの時ぼくらふたりだけに見えたプラネタリウムの流星


人生の途中でぼくはただじっと待ってるきみが犀を振るのを


冷たさは音にも宿る放課後の音楽室に響くシの音


背後から抱きついてくる恐ろしき鬼があなたで良かった二月


天国とゆう価値観があるゆえにシートベルトを締めないあなた


土砂降りの雨が降り出す高速で前が見えない無言の車内


もうすでに手遅れならば山桜ふたりで埋めようこの恋の死体




五年後にここで会おうと渡された二千五年のアドレスに『明日』






短歌 TOMORROWNEVERKNOWS Copyright 本木はじめ 2005-04-10 20:55:50
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