口だけじゃんと言われても、何度も
AB(なかほど)
口だけじゃんと言われても、何度も、何度でも
1
祈りを忘れてしまう夜がいくつもあります
誰かが亡くなったことを耳にしない日はないというのに
ハンバーガーを食べながら
我が子にその意味を問われました
2
答えはまだ見つからない
のか
もうずっと前から
そこにあるのか
そのままに生きてゆく
世界の全てが優しさで包まれるように
花束と折り鶴が少しだけ風に揺れる
ように
3
やさしいひとが
笑えない世の中で
山河に吠えている
一体何と戦っているんだ
それでも
もっとやさしいひとが
壊れた土手を
治している
4
僕らは優しくなれる
罪多き生き物で
偽善を覚えて
利己主義であっても
優しくなれる
もう会えない君へ
こんなにも寂しい思いをするのなら
口だけじゃん
と言われながらも
優しい言葉をかければ良かったと思う
もう会えない君へ
夏のグラウンドは暑かったね
冬の体育館は冷えたね
初めてのゴールはうれしかったね
もう会えない君へ
山、白く輝いて
まぶしいよ
5
まだなんか。あんたのこころん中でくすぶっとる
真実が、うそにならんように、うそにならんよう
にて、わしはただただ願うしかないんかいの。
あんたのゆわはる正義てなんの事や。それで、誰
の魂が救われるゆうんか。自分の魂も、冷めてま
うんやないか。ほんでも、あんたにもわしにも、
まだ消されへんぬくもりがあるんやないか。 消
したらあかんもんが。その胸によく問うてみ。
わしもよくよく考えてみるわ。
6
スダジイの
樹の下眠る麦藁帽子
木漏れ日も
星影も
(幼い僕が初めて命を感じて
泣いた絵 のような)