一人前の太陽
ふじりゅう

あなたは今日も藻だらけになり
古ぼけた君を探している
鏡に写るはねた髪の毛
命乞いだけは一人前の太陽が
あなたを暖めている

汚れた頬を叩いたあなたは
ゴミを掲げて微笑みながら
私の裾を躊躇なく掴んでくる
どうしても目を合わせられない
真っ赤なポストが真っ赤に抱き締めて
セメントの絨毯でお出迎えしていた
私にとっての大切な灯火で
君の汚れ全てを燃やせはしない

あなたは今日も風塗れになって
この場所で一番高い所かどうかを見定める
私はそれをとてもとてもよく分かっている
どうせ長い灯じゃないと教えているのに

あなたにとっての君は汚れた君であって
純白のキャンパスに手形を付けるためでもあって
茶色の封筒の茶色に共感する為であって
一緒に公園で見つけたようなゴミを探すことであって
あなたと君はクズでなければなくて
そこに肌色の生命体としてあるべき理念はなかった

どうかその細い目で
あなたと君を両方見てほしい
私は白い羽一本を遺すけれど
それは無限に培養出来るはずの唯一の飛行道具
赤色のポストを目指して欲しい
どうせ命乞いだけは一人前の太陽だから


自由詩 一人前の太陽 Copyright ふじりゅう 2020-03-09 02:36:39
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