羊たちの夜
むぎのようこ

つきあかりに
しろい骨をならべた
おし黙っている

伐りきりと
張りつめた鋼の向こう側で
黒鍵がひびく
弔うことも
ながれるように
仕舞って血はあおく
冷めたまま、ほほを伝う

ただ
景色になった
まばたきを裂いて
降りしきる
雨が春をまねいて
埋もれた
あとの
花ばかりながめて
ほねを喰む
けものになって
野にはなつ
言葉は
ここに置く







自由詩 羊たちの夜 Copyright むぎのようこ 2020-02-29 22:49:42
notebook Home