当たりと外れが有るから籤なのさ
こたきひろし

餓鬼の頃
駄菓子屋で引いた籤は
紐が何本もあって
その内の一本の先に当たりと外れが出た
当たりが何で外れが何だったかは忘れてしまった

俗説なのか何なのか知らないが
男と女は運命の赤い糸で結ばれてるらしい

だからいつもハラハラドキドキさせられるのか
果たしてどれが運命の赤い糸かなんて分からないんだろ
分からないから引くんだろ
それを知りたいから引くんだろ

もちろんスカもあるんだろ

言うかほとんどスカなんだろ

残念だったな
運命の赤い糸なんて
有るわけないだろう

そうなんだろう
俺の手もとには外れた籤ばかり
むきになって引いて損したよ

外れ籤は千切って千切って
冬の寒空に紙吹雪にして
飛ばしてやった

俺の側ですやすや寝息をたてている
一人の女とは腐れ縁だよ
赤い糸なんかじゃ繋がってないさ
どう転がったとしても

さんざんと言うほど痛い目に逢わされてきたし
逢わせてもきた
だけどさ
お互い根底では必要としてきたんだよ
心底癒される事あるんだよ
だからさ
切るに切れない男と女の関係なんだって

それが
夫婦なんだって
たとえ
愛情と憎しみが渾然一体になっても
俺の子ども産んで育ててくれたんだぜ
俺みたいな駄目な男の

今はお袋以上の存在なんだ
家族なんだって

どうせ
赤い糸なんて儚く綺麗に切れて
しまうものなんだろ


自由詩 当たりと外れが有るから籤なのさ Copyright こたきひろし 2020-01-04 07:05:14
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