消費者たち
アラガイs


馬鹿を晒すようで実にこころ苦しい話しなのだが、先日アウトレットモールのスポーツショップで四千数百円のジャケットを買ってきた。二割引き白地と胸のワッペンが気に入ったからである。で、さっそく家に帰って試着してみればちょっとサイズが大きいのである。黒地のベストに合わせて下に着込むとき、見た目はみ出るサイズの寸法がある。これにはやはり拘りがあるのである。
(う~ん、しまった!ストレッチ系の上着はたいていサイズよりも小さくてキツイ。これまで何着も失敗していたのだ。ああ、~やっぱりMサイズにしとけばよかったな。?Mサイズ置いてたかな。こうなると拘りの虫がまたムズムズと我慢できなくなってくる。で、同じ物のMサイズがあれば明日買いに行こうと思う気持ちがはやるのだ。また四千数百円もかけて同じ物を?交換してもらえば?……そう、わたしには試着する前に値札のタグをすぐに切り取る癖があるのだった。
それで翌日さっそく買い物に出掛ける。あら~ちゃんとMサイズが掛けてある。家に帰ってすぐに合わせて試着してみれば、お!これは納得、気分も落ち着いたのだ。
三日経って考えてみた。同じ物をタンスにぶら下げておいてもしょうがない。大きいサイズの方はまず着ることはないだろう。たぶん死ぬまでないのだ。
それならば、と着なくなった古着数点と一緒にリサイクルショップに持ち込むことにしたよ。ちょっと古いが何点かのブランド物ジャケットとジーンズもある。このジーンズは、どうかなあ、色はイタリアンブルーでなかなか見ない色なんだけどな、全然カットしてないし、いまでは流行らないストレートやや幅広タイプだからなあ。まあ、先日買ってきたジャケットもあるし、他がダメでもこいつだけはいくらかでは買い取ってくれるだろう、とわざわざ重い袋を助手席に積み込んで20キロばかり離れた隣街まで車を走らせた。

31番さあ~ん!用意ができました。のアナウンスが店内に響く。
渡された用紙を見て眼を疑ったね。
えー!何かの間違いじゃないの?
(ん)?一応確認の素振り、しばらくして)いえ、、この金額ですが、、
ありゃぁこれじゃタバコ銭にもならないよ。(…どうせ十倍にして売るくせに…)
ーどうされますか?
まあいいや、持って帰るの面倒くさいし……

読みがあまかったのだ。
世の中要らないモノで溢れているというのに
…少しイラついていたが帰宅途中にその街のアウトレットモールによってまたお買い物。グレーのスポーツジャケットに長袖のTシャツと歩くためのレッグウォーマー。あああ、、、なんか数万円損した気分だ。
あれ?そうか!あの未使用のジャケットはいくらの値段を付けたんだよ。しまったなあ、アレだけは売るのやめて持って帰ればよかったな。
…あなた、拘りを持つということはお金もどんどん消えて逝くということですよ。きみは悪魔かそれとも天使なのか?
まあ、くじで、ギャンブルで数十万もすったわけじゃないし。黒澤明監督だってモノには拘るんだ。ああ、いいか。いいともよ。
損すれば得をするのが世の流れ。
よけいなモノを消費するから商売も成り立つわけなんだな。年の瀬にわたしってほんとお目出たい奴、と思った。まる。(^^)



散文(批評随筆小説等) 消費者たち Copyright アラガイs 2019-12-12 23:50:06
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