時のしずく
あおいみつる

空はダークグレーのイマジネーション
見上げるビルの谷間に昇る赤い月
乱立する電柱の影が貼りつく街並み

斬新なアートの生産の情熱は
冷めたのが多数派
愛はない

星が流れたり生まれたり
繰り返し織りなす
それぞれの時代の痕跡

存在の不思議
ほんとうは生きているのか
死んでいるのか

無我

夢中

夢を見ているかの様に日々は流れ去り
終着点の入り口の手まえで
人は怯えている

永遠は
海底から覗く太陽のよう

恋焦がれる乙女のシルエット

たそがれ

ただ思い出を思い出し思いめぐらす
それしか叶わない
まるで玉手箱を開けるように

無知な幸福を抱いたまま
生きること
それは無理というものなのか

人は学ぶほどに臆病になり
知るほどに憂いとまどう



自由詩 時のしずく Copyright あおいみつる 2019-12-12 16:08:33
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