鼻毛の大将放浪記
イオン

大きなバイクで大将は
一人旅を噛みしめる
親方気取ってみたとこで
若いもんには越されてく
かなりの速度で走れても
スタートダッシュで抜かれてく
長く乗りたきゃ無理しない
味で乗るよな生き様を
排気音が追いかける

道の駅で一休み
バイクを降りてポッケから
タバコを取り出し深呼吸
一服つける横顔に
かすかに鼻毛が揺れている

売店食堂野菜売り
気軽にあちこち声かけて
笑顔を貰ってニンマリと
飛び出す鼻毛でしたためる
「人はこんなに暖かい」

すすけたジャケット胸開けて
ちょい悪オヤジを装うけど
残念鼻毛が伸びている
指摘されてもかまわずに
排気ガスで伸び伸びさ
小鼻を広げて笑ってる

鼻毛の大将どこに行く
行先なんて決めてない
着いた所が行先
そこで鼻毛を引き抜いて
胞子のように飛ばすのさ


自由詩 鼻毛の大将放浪記 Copyright イオン 2019-12-11 23:33:05
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