喫茶店にて
木葉 揺

木目に触れてつま弾いてみる
腕にしみる音だった
慌てて左手で右腕を抱く
静かに響きが止んでゆく

無粋ないたずらはするまい
たとえ喫茶店の壁が木目であっても
誰かがベースを弾くように
背骨から後頭部ふるわす音を
自ら放ちたい

そう思ってコーヒーの色を信じた
湯気のことも信じた


自由詩 喫茶店にて Copyright 木葉 揺 2019-11-23 20:56:36
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