自分史(音楽事務所勤務時代 4 ー 会員組織)
日比津 開

 DMと企業・団体向けのチケット販路開拓が
僕の担当となったが、もう一つ新たな会員組織
を提案し、1から取り組んでいくことになった。

 それまでは、200~300人規模のDM会員のよう
なものがあったが、特典などがなくチケット販売
にはあまり繋がっていなかった。そこで僕が会費
をお客様からもらう代わりに一般発売前に優先予
約できる会員組織を考え、内容、ルールを整えて
いった。

 会員は2種類設け、S席のみの優先予約を受付る
のを特別予約会員(年会費3000円)、S席~C、D席
まですべての席を受付るのを優先予約会員(年会費
2000円)とした。何か公演の発売があると、まず
特別予約会員のS席を最初に受付、次に優先予約
会員のすべての席を受付、最後に一般発売の順で
チケットの電話予約受付をするようにした。

 これにより、チケット予約管理システムの導入と
相まって電話が集中する発売時でもキメ細かな対応
が可能となった。それまでは、申し込み時に席がど
こになるかお客様に伝えられなかったのが、その場
で決められるようになった。

 熱心なクラシック音楽ファンの中には、最前列の
まん中の席をいつも希望したり、10数列目のセンタ
ーが良いとか、ピアノが入るときは手の動きが見え
る左寄りとか、とにかく最低ランクの席がほしいなど
といろいろな注文が多い。極力、そうした要望に応え
るようにした。

 会員には公演によってチケット料金を割引したり、
プログラム、招待券をプレゼントするなどの特典を
設けたりして、0からスタートした会員数は2000人
規模へと拡大していった。公演によって違うが、チ
ケット販売に占める会員の割合はだいたい20~30%
で、これにDM、企業・団体向け販売を加えると、僕
が担当する分野でチケット販売の40~50%となった。

 このほかのチケット販売は、新聞雑誌の広告・記事、
コンサート会場でのチラシまきなどが主な手段で、ス
ポンサーが付いた公演ではテレビ局のCMも行った。


散文(批評随筆小説等) 自分史(音楽事務所勤務時代 4 ー 会員組織) Copyright 日比津 開 2019-11-04 04:42:49
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