もうこれ以上人間を続けていたくない
こたきひろし

もうこれ以上人間を続けていたくない
そんな気持ちになった事はありませんか?

あなたも人なら
一度や二度はあったでしょう

そんなのいっぺんもなかった

おっしゃるなら

私はあなたに拍手を差し上げます

それは
きっと今が幸せいっぱいにつつまれているからでしょうか

おそらく幸せを満喫されておられるから
過去に遭遇していた切迫した感情の極みを
現在の幸福感が打ち消してくれているんじゃないかな

あるいは
今の幸せを邪魔されたくないと言う思いが強く働いているのだと思います

私の勝手な憶測かも知れないですが

人間誰しも
PRIDEを持っていますから
そのPRIDEを大きく歪められたら
最低限のPRIDEさえ踏みつけられたら

かなりの確率で絶望しますよね

その時のあなたの具体的な事情は秘密にしておいてけっこうですよ
思い出して
もし
パニックにでも陥ってしまうような事になったら
私も狼狽えてしまいますし
あなたも
元通りにするのに時間を要してしまいかねないでしょうから
そうならないように
どうぞ思いでの引き出しに鍵を掛けてしまっておいてください
忌まわしい過去の記憶だったのなら
封印してなかった事にするのが
最善最良の人間の知恵でしょうから

やめましょうか
こんな話題
折角のあなたの幸せに水を差しては申し訳ないですから

えっ何?
誰が今幸せだと言った

否定されるのですか
なんて嫌みな質問をするんだ

その顔は言ってますね

それを聞いて正直私はほっとしました
何を隠そう
私自身
今もこれまでも幸せな気持ちに浸れた事なんてないんですよ

だって今だって
人間やめたい気分いっぱいなんですから

そんな私の目の前に
あなたの幸せを見せびらかされたら
嫉妬してしまうじゃないですか

もっとも私は意地悪なので
幸せから見放されたような顔と姿をしている
あなただからこそ

こうして言葉をお掛けしたんですけどね





自由詩 もうこれ以上人間を続けていたくない Copyright こたきひろし 2019-11-02 05:26:07
notebook Home 戻る