すいせい
すいせい

狂い咲く雨は箱庭を濡らし沈める
くちづけの後の小さな虹が
知らない町を燻らせて
しらずに踏み潰した蟻が
わずかに軋んでいる
体温でむすんだ小さな手が
知らない誰かと角を曲がる
箱庭をおろし立ての白い靴でこえて
嬉しそうな声が雨に消え
一輪ちぎり ちぎっては
咲く痛みにふわりと会釈した


吹くほどに生きていく
さらば去れと
息をいろづける
冬という擬人に凝る夜の名前が
抉った爪の中にのこり
水である事を
これほど呪ったことはなかった
辿り着けない
消せない手紙は
ただ虫の翅の軽さで足元につもり
やがて雪の比喩へと昇華される
そんな甘やぎと
切り裂いたくちぶえ
指を焦がして
みえない



自由詩 すいせい Copyright すいせい 2019-10-25 23:25:54
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