メンデルスゾーン「音の絵画」
日比津 開
例えば、交響曲第4番「イタリア」
第1楽章のはじまり数小節で
僕はすぐにイタリアの真っ青な空
緑のそよ風が吹く草原へと飛ぶ
例えば、交響曲第3番「スコットランド」
非常にゆったりとした序奏から
荒れ果て草蒸す古城へと誘われて
昔の栄を偲び、そぞろ歩きする
フェリックス・メンデルスゾーン
ーあなたの作品を聴いた僕は
まだ行ったこともない
遥か遠くの異国へと
連れていかれる
あなたの音楽は、まさに
「音の絵画」というにふさわしい
さて聴くのはイタリアにするか
スコットランドにするか
いずれにしても上質で優雅な音楽
世界に浸ることができる
「音の絵画」の後には
メランコリー溢れる
バイオリン協奏曲もあるし
「真夏の夜の夢」で
結婚行進曲を聴いても良い
きっと幸せが蘇るだろう
いつもベートーベンやブラームスの
「苦悩から歓喜へ」という
重いテーマばかり聴いていられない
もし僕がこの場の空気、気分を
瞬時に変えたいなら
あなたの音楽を選び、幸せに浸る