メンデルスゾーン「音の絵画」
日比津 開

例えば、交響曲第4番「イタリア」
第1楽章のはじまり数小節で
僕はすぐにイタリアの真っ青な空
緑のそよ風が吹く草原へと飛ぶ

例えば、交響曲第3番「スコットランド」
非常にゆったりとした序奏から
荒れ果て草蒸す古城へと誘われて
昔の栄を偲び、そぞろ歩きする

フェリックス・メンデルスゾーン
ーあなたの作品を聴いた僕は
まだ行ったこともない
遥か遠くの異国へと
連れていかれる
あなたの音楽は、まさに
「音の絵画」というにふさわしい

さて聴くのはイタリアにするか
スコットランドにするか
いずれにしても上質で優雅な音楽
世界に浸ることができる

「音の絵画」の後には
メランコリー溢れる
バイオリン協奏曲もあるし
「真夏の夜の夢」で
結婚行進曲を聴いても良い
きっと幸せが蘇るだろう

いつもベートーベンやブラームスの
「苦悩から歓喜へ」という
重いテーマばかり聴いていられない
もし僕がこの場の空気、気分を
瞬時に変えたいなら
あなたの音楽を選び、幸せに浸る






自由詩 メンデルスゾーン「音の絵画」 Copyright 日比津 開 2019-10-16 07:17:25
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