春のそうめん
本木はじめ

生きている不思議な夢を君は見た?そろそろ君は目覚めるかもね


野山駆け野山駆けられ僕たちは遂に野山に野山られてる


回転扉を閉めれば良いのですあからさまな反射など屈折してしまう


徹夜明け24時間ぶっつづけ寝たいとゆうかまくらになりたい


別れても好きなひとなの別れても好きなひとなの別れても好き


流星は届かない手紙を折っているときの影のない陽の名残り惜しさだ 手


過ぎ去りし夏の線香花火やら麦藁帽子が届く 秋です


珈琲の味の違いがわかるほど大人になった娘と彼氏


晴れ渡る空に亀裂はありません気絶しているあなたの寝言?


好きですと庭の小鳥に近づけばごめんなさいと飛び立ってゆく


残念です呟きながらエレヴェーター開き直って二階の告白


先生、黒板より黒板消しの方が大きいです。と言った田中が消えた三月


先生、お腹が痛いので保健室に行ってきます。戻る斉藤 眼帯なぜに


先生、生まれそうなので早退します。と帰る林が翌朝森で


ウォッシングマシーンのなかのターコイズブルーな渦によく似た眩暈


フェイクキャンビージャストアズグッドなきみにヤーヤー ライオンは吼えるかい?


ゼブラな冬だ 雷が 明滅 明滅 つまりなんだ その  あれ


正解のない世界へと迷い込むアダムとイヴを確かめる夜


あからさまに人類最後の負け戦いちかばちかのハッピーエンド


月も出ない真夜中乱丁本かかえ堕落しようねカーネル・サンダース


ぼくたちはいつか衝突するだろう人工衛星ハロー、ハウ ロウ?


背伸びしてあくびできたら大丈夫きみはあいつとうまくやれるよ


眠たいと言うのはわかるだけどきみ『冬眠休暇願い』はちょっと


十一時五十九分もう少し信じていいよね今日の運勢


ときめきは忘れたけれど憶えてるたぶんおまえの誕生日は明日


バスルーム後部座席に腰掛けてハンドル握るきみにおまかせ


ぐつぐつと煮込んでいます肉片をシチューか、カレーか?わたし次第よ


人生はリハーサルではないんだと何度言ったらわかるのぼくら
 

手をくわえ見ているだけの恋でした明日の天気を誰か教えて


ワカラナイ森の呼吸に抱かれて揺れるコスモス見てたろぼっと


おまえのゆび、綺麗だね。ナイアガラの滝のようにながれてしまうじゅんすい


かくかくしかじか、しかじか。。しかしさ、夜はなんでこうも暗いかねぇ
 

イメージとゆう行為をしてみるがいいさ、祖国は花びらだとかたとえてみるがごとくね。
 

こぼれゆく水もハサミも米粒もあなたの涙に見えるせつない


たらいがちなうすみどりいろの目に映えるであろう融解されてゆく百合


格子越しに会話するきみとわれの落下速度を計る低音で響くパイプオルガンのド


逆らうごとくところどころに封じられた禁欲が大洪水のごとく押し流してゆく瞬眠


沈黙の流星ななめに燃え尽きてただの空ですきみが好きです
 

ライオンに食べられている鹿もいる純粋などという言葉もある


壁とゆう概念ひとつ捨て去ればぼくらどこでも行けるさ ゴツンッ
 

美しいフラッシュバックの断片をつなぎあわせて飾れ人生


春ですねさくらの花でいっぱいの頭の中がユートピアなきみ


大気中を漂っている手を繋ぎ雨と転じて生まれ変わるまで


舞台からはみでてしまう背景に描くのならば青空がいい


満月の夜に邪険にされること覚悟の上の雲である恋


春眠のようなおまえを抱きしめる午睡のごときわれとつながれ




短歌 春のそうめん Copyright 本木はじめ 2005-04-04 01:10:10
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