秋はそこから
そらの珊瑚
北向きの窓から
ふいに
秋の
風が産んだ子が走り抜けていく
本のすきまから伸びた
栞のしっぽが揺れ
亡くした猫のしっぽも揺れ
過去が
耳なかでちりりんと揺れる
寝転がると
窓いっぱいの小さな青
どこにもだれにもつながつていない
薄い青
季節はずれの風鈴が好き
さみしさで空いた穴を
さみしさで埋める
自由詩
秋はそこから
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そらの珊瑚
2019-09-16 09:23:36
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