薔薇の虐殺
岡部淳太郎

はら
  はら
    落ちる
       散る
風邪をひいた 熱 まだ、散らない
生まれ、愚鈍の、花
さっきまで
     五月まで
         月までの遊覧飛行、
乱費する、乱舞する、酩酊の船
野原がそれには似合わない
あまりにも
     あまり、にも
           配られる日
       (濁点)
つい、さ、いきんだばかりなのに
翁の顔で桃を洗う
時計を壊しなさい
予定を焼却しなさい、
帰り支度の
     疲れた机
         消化で、来ない

《棘》

気をつけの姿勢で、橇がたち、
形状記憶合金 の おぞましさ(を)させばながされる

 されるされるされる
          るれさるれさるれさ
      (仮名)
民衆を魚の中に泳がせる
無賃乗車で、間違、った、蔦が壁を這う
会わせる
    昔話の
       存在
死体が欲望する
それにトランクをつめられ、

 妻
  歯は掃除している、母を待つ

《花》

名はない何も、縄はない、にも、
か、
か、
か、
か、
か、
か、
  藁、図、
笑うことは健康に良いそうです
そうです良い健康は笑うごとに
倒立する逆説
怪文書
   よしんば烏賊が
          倍加が芯よ
      (句点)
適当な場所にはめこんで絵を完成させましょう
右手が尻に左手が頭に、
煮たままの
     ひりひりする
           義手が

《根》

ねえいったいぜんたいわたしたちは
ほんとうにただしいのでしょうかっ、
恣意的に
    選ばれる年始
          薔薇はとうに滅んで
ばら
  ばら
    ぱら
      ぱら
        はら
          はら
管、枯れる
花、落ちる

いろはにほへとちりぬるを
いろはにほへとちりぬるを



(二〇〇五年四月)


自由詩 薔薇の虐殺 Copyright 岡部淳太郎 2005-04-03 22:16:52
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