黄昏れの道
山人


虫の音が
どこかの草むらで聞こえている
触角をふるわせて
葉の様子をうかがうことが
かれらの仕事で
葉先から零れ落ちる露を少し飲んで
またうたう

いたるところに黄昏れが満ちあふれ
一日の鎮静が
あらゆる発作が鎮まるように
あらゆる突起物の上を覆っている

とり憑かれた呪いも解けたのか
体内都市は
平穏なリズムを刻み始めている

あとは、その祭壇へと登るために
あたらしい小石を
ゆるやかな放物線で
たしかに投石するのだ


自由詩 黄昏れの道 Copyright 山人 2019-09-10 07:06:02
notebook Home