(無題)
la_feminite_nue(死に巫女)

雨滴は弾かれて、空へと帰る。
雨音を一つ一つ、数えている。

ああ、そんなこともしていたんだね……

(タンバリン? そう、それとも?)

都市の空隙を埋める、──
人工のノイズ。
メゾピアノの、打楽器。

あれは、工場の?
社会を作り出す、
人に寄り添うゴーストの、寂しいため息。

ああ、そんな者たちも異端だわ……

(影となり、支柱となる)

今ならギガ使い放題っていう、
そんな戯れもさ、──
こんな日には横顔の頬を打つ、

(タンバリン? そう、タンバリン)

加速する、
その音の響きが、響きあい、
下から上へと、突き上げる。

ここに人はいるのよ、と、
息を吐いているのよ、
と、たゆたう都市のエルゴ・スム。

(タンバリン? ああ、空耳……)

救急車の、──
加速するサイレンの音が、
病者のぬくもりをかき乱す。

(いやだ! いや……。)

ここにいる、雨音。
タンバリンだけで良い。

たゆたう、ゴーストの、
 日向にある、日陰にある、
  闇から這いだした、──それら。

社会を作り出す、
 下から上へと突き上げる、
  なずさう都市のエルゴ・スム。

(タンバリン? ああ、空耳! 弦楽器の、影に、隠れて。。)


自由詩 (無題) Copyright la_feminite_nue(死に巫女) 2019-08-26 08:54:45
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