(無題)
la_feminite_nue(死に巫女)
雨滴は弾かれて、空へと帰る。
雨音を一つ一つ、数えている。
ああ、そんなこともしていたんだね……
(タンバリン? そう、それとも?)
都市の空隙を埋める、──
人工のノイズ。
メゾピアノの、打楽器。
あれは、工場の?
社会を作り出す、
人に寄り添うゴーストの、寂しいため息。
ああ、そんな者たちも異端だわ……
(影となり、支柱となる)
今ならギガ使い放題っていう、
そんな戯れもさ、──
こんな日には横顔の頬を打つ、
(タンバリン? そう、タンバリン)
加速する、
その音の響きが、響きあい、
下から上へと、突き上げる。
ここに人はいるのよ、と、
息を吐いているのよ、
と、たゆたう都市のエルゴ・スム。
(タンバリン? ああ、空耳……)
救急車の、──
加速するサイレンの音が、
病者のぬくもりをかき乱す。
(いやだ! いや……。)
ここにいる、雨音。
タンバリンだけで良い。
たゆたう、ゴーストの、
日向にある、日陰にある、
闇から這いだした、──それら。
社会を作り出す、
下から上へと突き上げる、
なずさう都市のエルゴ・スム。
(タンバリン? ああ、空耳! 弦楽器の、影に、隠れて。。)