サボテンの妖精
丘白月



地袋の上で眠り
記憶の雨漏りを
住処とする

血を吸った蚊
障子戸の隙間から
転生の池へ飛んで行く

色褪せた畳は
サボテンのよう
乾いた針が足の裏に咲く

煮出したばかりの
麦茶の香りが
サボテンの花に届く

乾いた和室に湯気
瑞々しい羽根
優しい刺たち



自由詩 サボテンの妖精 Copyright 丘白月 2019-08-20 19:19:22
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