夏、渓谷にて
TwoRivers

陽の光を遮る木々
無数の蝉の声は一つとなる

清涼かつ陰鬱な渓谷
私は一本道で迷子となる

ギンヤンマは乾くことを知らぬ土で戯れ
鴨は湧水足らぬ川で泳ぐことを諦める

涼しい風の中
恋人同士のふりをした男女が
長台詞に苦労している

出口を塞いでいく私とその全てを
カラスは見ていた


自由詩 夏、渓谷にて Copyright TwoRivers 2019-08-14 20:04:58
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