迎え火
ベンジャミン

 
ぽつりぽつりと降る雨の中
ぽつんぽつんと灯るあかり

この世とあの世の境目で
どの道を歩けばいいのか迷う

迷えるのはまだ救いがあって
どの道を歩きたいのか選べる

だからまだわたしは幸福なのか
それとも不幸の入り口なのか

数年前に亡くなったおばぁちゃんは
わたしが書く言葉が好きだと言って

筆ペンで書いた言葉たちを
わざわざ額に入れてくれた

どんな言葉たちも
「お前は文章がうまいねぇ」と

だけどおばぁちゃん
わたしは迷ってしまいます

たぶん少し疲れているからです
迷うことに迷ってしまうことに

だからおばぁちゃん
記憶の中のくちゃくちゃな笑顔で

そんなわたしを笑ってやってください

  


自由詩 迎え火 Copyright ベンジャミン 2019-07-17 01:48:43
notebook Home 戻る  過去 未来