雨が匂う
こたきひろし

雨はいつだって空から降ってくる

何ら
信仰も哲学も携えていない私が
その日
見上げた空には雨雲が立ち込めていた

雲の成分はほとんどが水
無数の水滴が地球の引力よって
落ちてくるから

なんだろう

そこに神は介在していない
筈だ

風は空気の移動
けして
神の呼吸じゃない

無宗教
無哲学
の私だが
何も恥じてはいない

いきなり降ってくる雨に
苛立つ事がよくある
外に出ていて傘を持っていないからだった

衣服もそれに包まれた体も濡れてしまい
雨の嫌な匂いが染み込んでくるからだ

降ってきた
激しく降ってきた
傘はない
雨は強風に煽られて
持っていたとしても役にたたないだろう

それはまるで
神と一緒だ

持っていても
役に立たない



自由詩 雨が匂う Copyright こたきひろし 2019-07-05 07:09:22
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